お母様の持つバッグにも、お父様の持つ手袋にも意味がある

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前回では、挙式のとき、お母様が持たれるバッグの中身について、お話しました。

このバッグ、ときどきお母様の中には、「小さくて物があまり入らないし、椅子の後ろに置きっぱなしなるから、いらないのでは?」と言われる方がいらっしゃいます。

でも、結婚式や披露宴で、お母様が持つバッグにも、お父様が持つ手袋にも、きちんとした意味があるのです。

和装の場合は末広(扇子)、洋装の場合はバッグ

洋装の場合、バッグはファッションの仕上げという役割があります。

黒留袖を着られるときは、必ず末広(扇子)を持ちます。それが着物のマナー。末広(扇子)を持たないということはありえません。
正式な場でお客様をお迎えする時、ご挨拶をする時に座敷なら膝前に、立っている時には帯留め位置で構えます。

決して手ぶらでご挨拶をしないのが着物のときのフォーマルマナーです。

末広がりの扇子というのは、家が末代まで繁栄するようにという想いが込められた縁起物でもあります。なので結婚式には必ず末広(扇子)を用意します。お写真を撮るときにも、必ず前に末広(扇子)を持たれます。

結婚式はあらたまった場所

なぜ、末広(扇子)を持つのでしょうか。それには「あらたまる」という意味があります。

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結婚式や結納という祝の席は、あらたまった場であり、いつもとは違う心持ちで迎えるものです。
そうしたあらたまった場で着物を着て挨拶をするときは、その作法として、自分の前に末広(扇子)を置きます。
この末広(扇子)は結界を意味していて、自分が相手から一歩引いた位置にいることを示すためのもの。
末広(扇子)によって相手と自分の間を線引きすることで、相手を敬い、自分を謙遜するわけですね。

その末広(扇子)と同じような意味を持つのが、洋装の場合はバッグにあたります。
バッグを持つことで、洋装のマナーが完成するわけですから、バッグを持たずに結婚式に出席するのは、ゲストをお迎えするお母様の立場としてはふさわしくありません。

お父様の白い手袋も忘れてはならない洋装のマナー

実は、バッグのほかにもうひとつ、手袋を持つというのも、正式な洋装のマナーなんですよ。
よく皇室の方たちが、正式なセレモニーに出られるときに、手袋をお持ちになっていますよね。
お母様の場合は、バッグがあれば手袋は省略しても構いませんが、実は、バッグを持たれないお父様は、手袋を必ず持つのがマナーなのです。

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お父様の場合は、昼間の結婚式ならモーニングコートをお召しになるのが正礼装。そのとき、必ず右手に白い手袋を持ちます。正式には鹿革の手袋を持つのですが、今は白い布製の手袋を持つことが多くなっています。

新郎もモーニングコートをお召しになりますが、もちろん新郎も手袋を持ちます。

白い手袋には「今日は武器は持ちません」という意味が

なぜ、白い手袋を持つのでしょうか。

それには「今日は戦いをしません」という意味があるのです。
今日はおめでたい席なので、戦いはしません、拳銃や武器は持ちませんよ、という意味で、必ず右手にグローブを持つわけです。

たとえば、昔の西部劇やヨーロッパの映画などで、決闘のシーンが描かれていますが、そういう場面では、相手に手袋を投げつけたら、それは「拳を抜くぞ」「闘うぞ」という合図なわけです。

手袋は必ず指先が外側にくるように持つ

羽織袴のときには、右手に白扇を持ちますが、その白い扇子にも同じように、「今日は、刀は持ちません」という意味があります。そして、刀をさす帯の位置に、白扇をさすわけです。

洋装と和装とで、同じような意味のマナーがあるというのは、とても興味深いですね。

手袋の持ち方にも意味があります。

お父様が手袋を持つときは、手袋だとわかるように、指先が外側になるように持ちます。指先を内側にして持ってしまうと、相手が何を持っているかわかりません。

持つ手も右手と決まっていて、左利きの人でも、右手に持つのがルールです。

手袋は、「今日はめでたい日だから、争いはしない」ということを、周りに知らしめるためにも持つ。こんなふうに、持ち物ひとつにしても、その意味をきちんと理解して覚えておくと、バッグや手袋も忘れませんよね。

J子のつぶやき

小谷さんにお話を伺ったとき、小谷さんはこうおっしゃいました。

「婚礼などの儀式には、ひとつひとつの作法に、昔から伝えられてきた意味があります。私は意味のないことは新郎新婦様やその親御様にさせたくはないので、いつも意味を理解していただけるように説明しているのよ」と。

なるほど、そういう意味づけをしっかりと心に刻んで、人生の節目となる結婚式を迎えることが大切なんだなと思いました。

先日、花嫁のご両親でドレスとモーニングのご試着にいらしたお客様が、やはり、「バッグは持たないといけないかしら」「手袋は煩わしいから持ちたくないな」と、おっしゃいました。

そのとき、バッグや手袋の意味をご説明しましたら、ご主人様がおっしゃいました。
「なるほど、そういう話を聞くと、結婚式という神聖なる儀式の重みが理解できる気がします。花嫁の父として、バージンロードを歩くときも身が引き締まりますね」。

私も、ひとつひとつの意味を理解して行うことの大切さを実感しました。

次回もご両親にとって為になるお話を掲載していきますので、お楽しみに!

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